Friday, January 22, 2010

ピアノリサイタル@QEH

写真は、Classiquenews.comより

2010年1月19日 クィーン・エリザベス・ホールにて
International Piano Series
Cedric Tiberghien セドリック・ティベルギアン

Fryderyk Chopin:
Scherzo No.1 in B minor, Op.20
Mazurka Op.6 No.3; Op.17 No.2; Op.17 No.4
Ballade No.1 in G minor, Op.23
Mazurka Op.24 No.2; Op.24 No.4
Scherzo No.2 in B flat minor, Op.31

Interval

Alexander Scriabin: Impromptu a la Mazur, Op.2 No.3
Mazurka Op.3 No.7; Op.3 No.6; Op.25 No.3

Aleksander Tansman:
Mazurka, Book.1 No.3; No.4
Mazurka, Book.3 No.1; No.3
Mazurka, Book.1 No.9

Karol Szymanowski:
Mazurka Op.50 No.1; No.7

Fryderyk Chopin: 3 Mazurkas, Op.59
Polonaise-Fantaisie in A flat, Op.61


ショパン生誕200年記念と銘打っただけあって、今シーズンのInternational Piano Seriesは、そうそうたる顔ぶれによるショパンの弾き比べが楽しめそう。

セドリック・ティベルギアンは、このところ話題のフランス人若手ピアニスト。
実のところ、パブリシティー写真での美形ぶりに注目が集まりがちなので、実力は大した事ないんではないか、と疑っていた。

だから、最初のスケルツォを聴いてのけぞるくらいびっくりした。細身の長身を折り曲げる様にして弾き始めるやいなや、その独特で深い世界にぐぐぐっと引込まれ時間が経つのも忘れるくらい夢中になっていた。

彼の持つ世界観がとにかく美しい。技巧的な完璧さや完成度の高さを誇るピアニストは、どうも私の心に響かないらしい。ティベルギアンが特別なのは、アーティストとして、彼の紡ぎだす音楽そのものが、すでにアートとして確立されている凄さ。言葉にすると平凡だけれども、そのタッチの美しさ、低音部の重厚さ、弱音の時の透き通るような静かで襞のある音、高い音楽性。それはきっと持ってうまれた感覚で、いくら技術を磨こうとも、元々持っていない人には絶対に身につけれないものなのではないか。またその持って生まれた才能にとらわれすぎて、技術がそれに追いつかないままプロになってしまったアーティストも多いのに、ティベルギアンは、ちゃんと技術も伴っている本物のヴィルトゥオーゾの可能性も秘めた人。

難を言えば、技術が確かな割にミスタッチが多いところかな。でももしかしたらピアノとの相性が良くなかったのかもしれない。

マズルカ
マズルカはポーランドの有名な民族舞踊(舞曲)形式で、ショパンはその形式を使って沢山の作品を生み出し、マズルカをアートの領域まで高めた人。プログラム後半のスクリャービンやタンスマン、シマノフスキのマズルカは、全てショパンが確立した《マズルカ形式》を継承して書かれたもの。個人的にはタンスマンの耽美的な美しさにため息し、シマノフスキの音調にまたまたうっとりしその気持ち良さについうとうと、、、と非常に気持ちのいい心地にさせてくれた。

ちなみにプログラム前半に披露したショパンのバラードは、クラシックを聴いた事がある人ならおそらく一度は聴いた事があるであろう有名な曲。是非その音の美しさを聴いてみてください。

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