Sunday, January 31, 2010

コヴェント・ガーデンでオペラの夜

1月30日 コヴェント・ガーデンにて

ストラヴィンスキー: The Rake's Progress

歌詞は、英国出身の詩人W H オーデンが作詞したので、英語。
日本語訳だと「放蕩者のなりゆき」
なんだか難しい話なのか、と少し気構えて行ったら、まるでサーカスに迷い込んだみたいでびっくり。歌手も歌手らしくなく芝居上手で、なによりも演出家のロベール・レパージュRobert Lepageの創りだす世界に、時と場所を忘れて夢中になっていた。

話は、ヨーロッパではおなじみのファウストやメフィストーフェレによく似たもの。一口にいえば、人間のツラをかぶった悪魔に魂を売ったらどうなるか、という教訓話。ルパージュの演出では、最後に悪魔が正体を現すところで、ヒネリがきいていて、おぉっという感じ。

ストラヴィンスキーは、19世紀末にサンクトペテルブルク近郊生まれ、パリで活躍したロシア人万能作曲家。ナチス台頭を避けてアメリカに亡命し、ニューヨークで1971年になくなった。バレエ音楽『春の祭典』が特に有名。




Rake's Progressは、ストラヴィンスキーが、モーツァルトとかヘンデルのスタイルによって作曲したもの。この人本気で作曲したの?と疑いたくなるような遊び心がいっぱいの音楽。内容と音楽が噛み合ずに、(しかも英語の構成をあまり分からないまま作曲したのか、イントネーションがとても変で、歌いにくそうだった)???と思っていたら、最後のエピローグで疑問氷解。つまりは、すごくシリアスな内容のオペラではなく、あくまで、これは架空のお話ですよ〜と登場人物全員が出てきて歌って終わり。

歌手陣の中では、主役トム・レイクウェルを歌ったトビー・スペンスがぴか一だった。声が決していいわけでないけれど、よくコントロールされてて安定していたのに加え、演技が非常に上手くて、歌手というよりは俳優みたいだった。


自分用メモ:


CREDITS

Composer
Igor Stravinsky

Director
Robert Lepage

Choreography

Michael Keegan Dolan


PERFORMERS


Conductor
Ingo Metzmacher

Trulove
Jeremy White

Anne Trulove
Rosemary Joshua

Tom Rakewell
Toby Spence

Nick Shadow
Kyle Ketelsen
William Shimell

Mother Goose
Frances McCafferty

Baba the Turk
Patricia Bardon

Sellem
Graham Clark

Friday, January 29, 2010

グリニッジで出会った日本人の陶芸家さん

週末のグリニッジ・マーケット。人ごみの中に突然日本語が飛び込んできた。予想もしなかったそれは、YAMANECO POTTERY...

画面中央に見えますか?

どの作品も、もう一目惚れの可愛さ。なんだかまぁるくて気分がほのぼのとなる不思議でオリジナリティーあふれる和のポテリーたち。すぐに手に取ってみたくなる魅力たっぷりの作品ばかりで、どれにしようか目移りしてしまう。。結局購入したのは、オーダーで作って頂いたハリネズミ親子の急須と湯のみ茶碗のセット。質感と良い、イラストといい、予想以上のできばえに、すっかりファンとなりました。


湯のみ茶碗のポッチが可愛い。

3匹そろったところ。

この口がいいのです

Yamaneco Potteryさんのブログはコチラ
週末のグリニッジ・マーケットに出店されているよう。



Sunday, January 24, 2010

初めてのラグビー観戦 ラグビーはアート!?

生まれて初めてラグビー観戦へ。
1月23日 Twickenhamスタジアムで行われたロンドン・アイリッシュVSレンスター戦。

お目当ては、レンスターの13番ブライアン・オドリスコル(Brian O'Driscoll)!
去年のアイルランドによるSix Nationsグランドスラム(全勝優勝)に最も貢献したおそらく今世界最高のセンター。小柄&童顔とはうらはらに、非常に獰猛なタックルをかましたり、いったんボールを持ったらひたむきにトライを目指す姿が、ラグビー音痴の私にも好感度大なプレーヤー。


このクリップは、アイリッシュ/レンスター戦に先立って行われた、レンスター/ブライヴ戦でのトライの様子。オドリスコルならではの爆発的スピードに注目。

さて、23日の試合。観客は、とてもフレンドリーで両チームのサポーターたちが、混じり合ってわいわい応援する温かい試合風景で、初観戦の私もとっても楽しめた。残念ながらオドリスコルのトライを観る事は叶わなかったけれど、生で試合をみれて、大満足だった。

イングランドのスポーツといえば、フットボールというイメージが強いので、ラグビーが好きというと、はぁ?という顔をされることも多い。私もこちらに来るまでは、全くといっていいほど興味がなかった組。それがある日テレビでやっていたSix Nations(イングランド、アイルランド、ウェールズ、スコットランド、フランス、イタリアによる国際トーナメント)を観て、「なんて美しいんだろう!」と感激。

ボールのパスは後ろ方向にしかできない、というルールしか知らなかった私だが、フォーメーションの多彩さ、特に攻撃のときのThree Quarter Lineの整然としたラインの美しさや、ペナルティーやドロップボールのときにFly Half が蹴る楕円形ボールが生み出すなんともユニークな軌跡を見て、これはスポーツの枠を超えてもはやアートの域である、と思ったのである。

ラグビーは、生身の人間同士がなんのプロテクションもなしに、ぶつかり合う非常に危険なスポーツなので、自然たくさんの約束事や反則などがあり、猛々しい大男たちがごつんごつんぶつかりあう割りには、紳士のスポーツ、というミスマッチが面白い。特にイングランドでは、フットボール=労働階級、ラグビー=ミドル・クラス以上という歴史が依然として強く影響していて、ごつい大男でも実はボンボンのパブリックスクール出身が未だに多い。近年は、アイルランドやウェールズ、フランスにイングランドは押され気味で、そういったボンボン・イメージもおそらく薄れつつあるだろうけれど、ラグビーを観る観客層とフットボールを観る観客層はあきらかに違う種類の人々で、それによってなんとなく出身や家族の様子が分かるのが、外から来た人間には興味深かったりする。

そんなわけで、すっかりはまってしまったラグビー。これからSix Nationsも始まるので、応援にも一層熱が入りそう。家族友人からは「ラグビーというよりは単に、逞しい男の太ももを観るのが好きなんじゃない?」という冷やかしも聞こえてきますが。。ま、中らずといえども遠からず、、でしょうか。(笑)

Friday, January 22, 2010

ピアノリサイタル@QEH

写真は、Classiquenews.comより

2010年1月19日 クィーン・エリザベス・ホールにて
International Piano Series
Cedric Tiberghien セドリック・ティベルギアン

Fryderyk Chopin:
Scherzo No.1 in B minor, Op.20
Mazurka Op.6 No.3; Op.17 No.2; Op.17 No.4
Ballade No.1 in G minor, Op.23
Mazurka Op.24 No.2; Op.24 No.4
Scherzo No.2 in B flat minor, Op.31

Interval

Alexander Scriabin: Impromptu a la Mazur, Op.2 No.3
Mazurka Op.3 No.7; Op.3 No.6; Op.25 No.3

Aleksander Tansman:
Mazurka, Book.1 No.3; No.4
Mazurka, Book.3 No.1; No.3
Mazurka, Book.1 No.9

Karol Szymanowski:
Mazurka Op.50 No.1; No.7

Fryderyk Chopin: 3 Mazurkas, Op.59
Polonaise-Fantaisie in A flat, Op.61


ショパン生誕200年記念と銘打っただけあって、今シーズンのInternational Piano Seriesは、そうそうたる顔ぶれによるショパンの弾き比べが楽しめそう。

セドリック・ティベルギアンは、このところ話題のフランス人若手ピアニスト。
実のところ、パブリシティー写真での美形ぶりに注目が集まりがちなので、実力は大した事ないんではないか、と疑っていた。

だから、最初のスケルツォを聴いてのけぞるくらいびっくりした。細身の長身を折り曲げる様にして弾き始めるやいなや、その独特で深い世界にぐぐぐっと引込まれ時間が経つのも忘れるくらい夢中になっていた。

彼の持つ世界観がとにかく美しい。技巧的な完璧さや完成度の高さを誇るピアニストは、どうも私の心に響かないらしい。ティベルギアンが特別なのは、アーティストとして、彼の紡ぎだす音楽そのものが、すでにアートとして確立されている凄さ。言葉にすると平凡だけれども、そのタッチの美しさ、低音部の重厚さ、弱音の時の透き通るような静かで襞のある音、高い音楽性。それはきっと持ってうまれた感覚で、いくら技術を磨こうとも、元々持っていない人には絶対に身につけれないものなのではないか。またその持って生まれた才能にとらわれすぎて、技術がそれに追いつかないままプロになってしまったアーティストも多いのに、ティベルギアンは、ちゃんと技術も伴っている本物のヴィルトゥオーゾの可能性も秘めた人。

難を言えば、技術が確かな割にミスタッチが多いところかな。でももしかしたらピアノとの相性が良くなかったのかもしれない。

マズルカ
マズルカはポーランドの有名な民族舞踊(舞曲)形式で、ショパンはその形式を使って沢山の作品を生み出し、マズルカをアートの領域まで高めた人。プログラム後半のスクリャービンやタンスマン、シマノフスキのマズルカは、全てショパンが確立した《マズルカ形式》を継承して書かれたもの。個人的にはタンスマンの耽美的な美しさにため息し、シマノフスキの音調にまたまたうっとりしその気持ち良さについうとうと、、、と非常に気持ちのいい心地にさせてくれた。

ちなみにプログラム前半に披露したショパンのバラードは、クラシックを聴いた事がある人ならおそらく一度は聴いた事があるであろう有名な曲。是非その音の美しさを聴いてみてください。

Sunday, January 17, 2010

手編みのベスト

去年の終わりからぼちぼち編み始めてたベストがやっと完成!

スコットランドのその北、オークニー諸島にあるアウスケリー島よりやってきた100%ノース・ロナルドセー・シープの純ウールを大体200g使用。ノース・ロナルドセー・シープは、名前から分かるように元々はノース・ロナルドセー島にて飼育されてたのが、いろいろ事情があって今はアウスケリー島に移住した羊たちのこと。なんでも海藻が主食とかで、ウールも、グレイに緑がかっているのが特徴。海藻をもぐもぐ食べる羊を想像するとなんだか可笑しい。

縁取り&袖口に使ったのは、Debbie Bliss Donegal Luxury Tweed Aranを50gとちょっと。
棒針5mm、4.5mm(袖口)使用。パターンは、ピエロから無料ダウンロードのものを使用。これを基本にこれを適当にミックス、最終的には自己流で。100%純ウールはやっぱりほこほこあったかい。

Saturday, January 16, 2010

@BFIにて小津監督の作品が多々上映中

BFIでただいま小津安二郎特集をやっているので、「東京物語」を観に行きました。
Film Season: Yasujiro Ozuと題して、初期の小津作品(戦前)から小津に影響を受けた他の監督たちの映画まで、いろいろやっています。特に「東京物語」は1月の終わりまで、「秋日和」は2月まで上演されているようです。

「東京物語」

オープニングの尾道の風景からしてもう懐かしいというか切ないくらい純日本で。親子/他人の絆というテーマは、あまりにも人の真理をついていて、親を離れ地球の裏側に落ち着いてしまった子としてはかなり胸を突かれる思いでした。

有名なtatami-shotとしてコチラでも知られるローポジションからの茶の間風景や、こんなに美しいものだったのか!と驚嘆した日本語の台詞など、まるでその1コマ1コマが宝石のような煌めきをはなって最初から最後まで目(と心)を奪いました。西洋人には、時折特異に映ることもある「日本(人)らしさ」ー とある有名なピアニストは日本を訪れて演奏することを「最初の一週間は、まるで天国にいるみたい、皆親切で心をこめたおもてなしで、、、、でもその一週間がすぎると、まるで黄金の檻に入れられているように思い始める。なんというか、あまりにも全てが完璧で、自由になる余地がなく、人はオモテの面だけみせていつも笑顔で、本当の人間性が見えない。」と言っていたらしいけれど、そういうオモテとウラ、建前と本音という日本の社会の有様が、この映画に自然に存在しているからこそ、こうやって日本を超えて評価が高いのだと思いました。

寒さも和らぎ、暗くて灰色で惨めなでも寒く無いという典型的なロンドンの1月となってきましたが、January Bluesを吹き飛ばすには、古き良き日本の風景でもどうでしょうか。

Sunday, January 10, 2010

Winter-Wonder-South Londonより

今年は記録的な寒さ(100年ぶり?!)の冬らしいとの事で、雪が降り積もった先週、半ば電車が止まっているのを覚悟(というより期待かも。。)していたら、なんと去年の大雪の際、あまりにだらしないサービスで非難囂々だった教訓を活かしたのか、ちょっとの遅延はあれどもちゃんと動いているではないですか。ちょっとBR見直しました!オリンピックも段々と近くなってきた2010年のロンドン、運賃の値上げ分くらいはサービス向上してくれればいいなぁと願ってます。