Sunday, October 18, 2009

生のピアノにふれる夜

今年もまたサウスバンクで、International Piano Series が始まりました。若手から大御所までこれほど素敵にセレクトされたシリーズも珍しいでしょう。今年は、ショパン・イヤーだとかで、ショパンの作品を取り上げるピアニストも多いようです。

年末までのラインアップは、こちら↓

1 Nov  John Lill − シューマンとブラームス

9 Nov  Cristina Ortiz − ドビュッシーとヴィラ・ロボス

23 Nov  Louis Lortie − ショパン

4 Dec  Leif Ove Andsnes & Robin Rhode − シューマン、ムソルグスキーとラルヒャーの新作UK premiere

8 Dec  Imogen Cooper − シューベルト

こう見てみると、シリーズ前半は、あまりショパンづけ、という感じではないですね。(苦笑)シリーズ中盤〜後半にどか〜んとくるみたいです。

ショパンといえば、音大の入試試験の際、Chopinがどうのこうの〜と書かれてあるのを和訳するというエイゴの問題で、チョピンが、と訳してしまったらしい友達がいました。その時初めて、ショパンってフランス語読みだった〜〜〜!と知った私たち。。ショパンの出身国ポーランドでは、ナント読むのか気になる所です。「ショパンの練習曲集」なんて巷に出回っているのが、実は、「チョピンの練習曲」だった!なんてことになると、あのエレガントで上品なイメージがガタッと崩れるような気がしませんか?!

それはさておき、Cristina Ortizのコンサートは、lastminute.comにて、50%引きで買えます。(例: £20のチケットが、£10プラス£1の手数料=£11)

サウスバンクは、ロンドンのウォータールー駅近く、または、エンバンクメント駅から橋を渡ってすぐという便利な所にあります。サウスバンク内にあるカフェや、バーなどはコンサート前に一服するのに最適でお勧めです!


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Saturday, October 10, 2009

読書熱について、その後

ヒマラヤンのいる暮らしという素敵なブログをお書きになっているSineadさんという方のところで初めて出会った梨木香歩という作家の本を読んだ。(勝手にリンクを貼らせていただきました。お気を悪くなされないといいのですが。。)

「春になったら苺を摘みに」
作家自身の英国留学時代に身近にいた人々を再訪するというエッセイ。
出版は2002年だから、私が英国に住み始めるより少し前のお話。
毎日の通勤時間に読んだのだけれど、軽やかでありながら重いテーマにぐんぐん引きずり込まれ、窓の外をみる余裕もないまま、気がつけば、自分が今存在している英国と彼女の中の英国がオーバーラップするかのような、摩訶不思議な空間を経験した。

彼女の書いた「西の魔女が死んだ」というのを、先に読んでいて、どうして英国がこんなにも自然に彼女の中にあるのだろう、、、と不思議に思っていたのが、このエッセイを読んで一気に氷解した。

彼女が過ごした頃の英国は、もう存在しなくて、今のイギリスは、私も含めて山ほど日本人が住んでいて、日本人だけでなく山ほどの移民、留学生が世界中から集まる、まさに人種のるつぼである。そして民族間の調和が至るところで、少しずつ綻びつつあるそんな不安定なイギリスに、私は居る。そんな事をいやおうなしに考えさせられて、通勤時間には少し重すぎて、2章くらい読むのが精一杯だった。エッセイの最後には、アメリカだけでなく世界に衝撃をあたえた、911に関する話がある。911後のイギリスは、やはり後戻りできない変化を経験せざるを得なかった。そんな事を思いながら見る窓の外は、いつもと変わらない南ロンドンの風景。でも彼女のエッセイをとおして見る景色は、深まりつつある秋の色と相まって、いつもより鈍く沈んで見えた。

小説より奇なり、とはよく言ったもので、エッセイなどで浮き彫りにされる現実の人々の生活は、それを見つめる作者の眼をとおされた事も相まって、そこらの小説より何倍も興味深い深いことがよくある。今回も彼女の感性のゆたかさ、言葉やフレーズの選び方がとても素晴らしいと思った。もっと読んでみたい作家が見つかった。

Sineadさん、ありがとうございます。