Tuesday, August 19, 2008

アート巡り番外編〜バルセロナ〜②

Museu Picasso (Picasso Museum)

ピカソ美術館は、バルセロナの旧市街にあり、散策途中に立ち寄るのに最適でした。
美術館は、1963年に彼の長年の友人Jaime Sabartesからの沢山の寄付を得てオープンしました。そのため、彼の若いときの作品が多数を占めており、ピカソの有名な作品を期待して訪ねていくと、少し期待外れに終わってしまうかもしれません。それでも、彼のバイタリティ豊かな個性が発揮されていて、充分に楽しめました。なかでもチャコールやパステルで描いたものが特に印象に残りました。

'La Diseuse'

'End of the number'
歌手が歌い終わって拍手に応えているところでしょうか?彼女たちの衣装や髪型が、「その時代」をまるで切り取ったかのように鮮やかです。こんなドレスを着てみたい!


'Un Sabio' (賢人)

こういうスケッチを見ていると、ピカソに茶目っ気たっぷりにウィンクされたような気分になります。
この美術館の目玉とも言えるのが、ピカソが、ベラスケスの「ラス・メニーナス(女官たち)」をモデルを下敷きに、自由自在に描いた一連の作品群です。


上が、ベラスケスの描いた絵、下が、ピカソのもののうちの一枚。少し写真のサイズが小さいので見にくいですが、構図はほぼ同じながら、細部が細かく変わっていて、まぎれもなくピカソの作品になっているところが非常に面白かったです。

ピカソ美術館のホームページはこちらから。

Sunday, August 17, 2008

アート巡り番外編〜バルセロナ〜①

Fundació Joan Miró (Joan Miro Foundation)


バルセロナ出身で世界的に有名と言えば、まっさきにピカソが思い浮かぶかもしれませんが、ちょっととぼけた様なユニークな作風が特徴のホワン・ミロ(1893−1983)もまた、バルセロナにゆかりのあるアーティストです。そんなミロの、絵画にとどまらない広範囲にいたる作品群を見る事が出来るのが、バルセロナの小高い丘Parc Montjuïc にある、ホワン・ミロ・ファンデーションです。

入り口では、こんな銅像が出迎えてくれます。


ミロの作品は、彼の強い好奇心がそのまま反映されたように、題材も素材も多方向に及びます。彼の若いときの作品(まだ抽象画になるまえ)から、「絵というものの破壊」に向かった青年期を経て、シュルレアリズム(超現実主義)による、シンプルな円やカラーの中に彼なりのユニバースを凝縮したようなの抽象画の数々や、セラミック、彫刻などを一気に楽しむ事ができます。自然光を程よく取り入れた館内は、ひんやりと涼しく、また白壁に奔放なカラーのミロの作品がよく映えていました。

まず、入ったところにこんなタペストリーが。このファウンデーションが建立された時に特別に作ったそうです。




正面に見える絵は、「太陽の前の人物像」と言う題名がついていますが、私には、どう見てもかがんだ状態の人のように見えます。私は、抽象画が、写実画に比べて、より自由に絵を解釈する事が許されているように思い、そののびのびとした世界が特に好きです。

ビビッドな色彩と、奔放な筆遣いから、ミロの複雑で非常にアーティスティックな感性がかいま見れるように思います。中には、水墨画を思わす白地に黒でデザインを描いた物もありました。

ミロは、青年期以来、パリに長く在住し沢山のアーティストとも交流がありました。その後、フランコ政権のスペインを避けて、生涯のほとんどをマヨルカで過ごしたそうですが、バルセロナのある、カタルーニャ地方の伝統文化を愛し、自身もカタラン・アーティストであると自負していたそうです。彼の作風は、シュルレアリズムの部類に入りますが、同じシュルレアリズムとはいっても、同じカタルーニャ地方出身のサルバトール・ダリのように現実にはありえない構図で写実的な絵画を描くのではなく、より抽象画に近い方に発展していきました。

この「鳥」と題された大理石(?)彫刻は、その温かくてのびのびとした形がとても印象的でした


ホームページは、こちらから。