Tuesday, March 4, 2008

イギリスの作曲家たち

今は、音楽といっても聞き手専門になってしまいましたが、少し前までは、声楽という音楽を奏でる側にいました。そんな訳で、どうしても自分の経験と照らし合わせてしまうのですが、私にとっての大ショックは、留学するまで全くイギリス人の作曲家を知らなかったことでした。
特に歌曲の分野では、イギリス歌曲は、まだまだ日本に知られていないように思います。ヘンデルの後、19世紀末までこれといった作曲家が出てこなかったからかもしれません。その頃ドイツでは歌曲まっさかり、ついでに日本にも輸出されてますよね。
留学しなかったら出会わなかった彼ら。その魅力を少しずつ紹介していきたいと思います。

さて第一回は、ジョージ・バタワース(George Butterworth)のソングサイクル『シュロプシャーの若者による6つの歌(6 songs from A Shropshire Lad)』です。

バタワースは、1885年にロンドンに生まれ、1916年、第一次大戦中ソンムの戦いで31歳の若さで世を去りました。生前彼は、フォークソング(とモリスダンス Morris Danceはこんなダンス!)の収集保存に情熱を捧げるかたわら、A.E.Housman(ハウスマン)の詩による、一連の歌曲などを作曲しました。中でも、「シュロプシャーの若者による6つの歌」は、旋律の美しさ、繊細さ、詩とのハーモニーの絶妙さが秀逸です。

1 いちばん美しい木
Loveliest of trees 

2 私が21歳だったとき
When I was one-and-twenty

3 どうか僕の目をそんなに見つめないでほしい
Look not in my eyes

4 それ以上考えないで、若者よ
Think no more, lad

5 たくさんの若者たちが
The lads in their hundreds

6 僕の馬たちは、働いているだろうか?
Is my team ploughing?

ソングサイクルとしては、小規模ですが、それぞれの歌がまるで希少な宝石のような歌曲集です。6曲目は、まるでシューベルトのドッペルゲンガー(Der Doppelgaenger)に匹敵するようなドラマチックな幕切れです。




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