Sunday, October 26, 2008

告知:ケンブリッジで有名ソプラノの歌曲コンサート!

ケンブリッジやその近郊に在住の方、今週の金曜日(10月31日)夜8時より、ペンブローク・カレッジのThe Old Libraryにて世界中で活躍中のソプラノ歌手アマンダ・ルークロフトの、歌曲のコンサートがあります。曲目は、チャイコフスキー、シュトラウス、バーバー、ドビュッシーとパンフに掲載されていますが、かなり気楽な雰囲気のコンサートなので、急遽変更があるかもしれません。
入場料:10ポンド(学生は半額)、チケットはThe Porter's Lodgeで購入できると思います。

アマンダ・ルークロフトは、コヴェント・ガーデンや、ENOなど、国内にとどまらず世界中で活躍中のソプラノ歌手です。またオペラだけでなく歌曲のコンサートも精力的に行っていて高い評価を得ています。CDも沢山出ていますが、2007年に発売された"Amanda Roocroft - None but the lonely heart"(写真下、アマゾンより)では、今回のコンサートで歌う予定であろうチャイコフスキー、シュトラウス、ドビュッシーの歌曲が収録されています。

彼女は、20代の前半ですでにコヴェント・ガーデンにてデビューをはたし、それ以来ずっと一線で活躍中ですが、しばらく前に声の調子を崩し、一時は引退まで考える程だったそうです。そんな時、新しい先生にであい、そのお陰でさらにパワーアップして帰って来たらしいので、これから円熟期を迎え、どのような歌を聴かせてくれるのか非常に楽しみな歌手です。


Pembroke College Cambridge

Amanda Roocroft (Soprano) & Joseph Middleton (Piano)

Songs by Tchaikovsky, Strauss, Barber, Debussy...

Friday 31st October 2008
8pm~ @ The Old Library 
Tichkets: £10 (students £5)


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Tuesday, October 7, 2008

Rothko ~The Late Series~ @ Tate Modern

テートモダン4Fにて


マーク・ロスコといえば、テートモダンの常設展にある「ロスコ・ルーム」が有名ですが、今回の特別展は、普段その「ロスコ・ルーム」に展示されている9枚の壁画を、日本の川村記念美術館とアメリカのワシントン・ナショナル・ギャラリーに保存されていた他の一連の壁画とともに、シーグラム壁画シリーズとして展示するのを目玉とした特別展として開催されています。

実際に観に行ったのは2週間程前になりますが、未だにうまく文章に表せないくらい感動しました。特別信心深く無いのですが、地元の神社に帰った時のような心の平安を感じてしばらく身動きできませんでした。

来年の二月一日までやっています。同じ特別展が、2月21日からは、川村記念美術館で開催されるそうです。

お勧めです。


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Thursday, October 2, 2008

Concert @ Royal Festival Hall



1st October 2008

Budapest Festival Orchestra

Iván Fischer conductor

Christianne Stotijn mezzo-soprano

Robert Dean Smith tenor

Programme

Schoenberg: Verklärte Nacht (1899, revised for string orchestra 1917 & 1943) 
Transfigured Night 浄夜

Mahler: Das Lied von der Erde (1908-1909)  The Song of the Earth 大地の歌

(i) Das Trinklied vom Jammer der Erde
(ii) Der Einsame im Herbst
(iii) Von der Jugend
(iv) Von der Schönheit
(v) Der Trunkene im Frühling
(vi) Der Abschied
  

*****************************************
☆☆☆☆★

オーケストラの質の高さと、そして指揮者との完璧に息のあった上での集中力の高さがものすごいパワーとなることを実感した夜だった。シャーンベルグの「浄夜」は、初めて聴く作品だったのであらかじめプログラムの解説で、ABACAという楽曲構成であることと、特に有名であるらしい、Cの部分にあたる詩の英訳を読んでいて、より楽しめたように思う。月明かりの下で女がある告白をし、男がそれを許し、ふたりの絆を強めるという話なのだけれど、実際にそのドラマを目の前で見ているかのような音楽だった。A部分は、二人が月明かりの下を散歩している様子、Bでは、心が張り裂けるような哀しみと緊迫感に満ちていて女の告白、そしてAをはさみ、Cでの男の全てを包み込むような愛と理解にみちた言葉があり、またAへと、二人で歩んで行く。Cの音楽は、今まで聴いた中で最も美しく感動的な音楽であったと思う。

休憩後のマーラーの「大地の歌」も、前半に値するくらい素晴らしい演奏だった。特に光っていたのは、テナーのロバート・デーン・スミスと、プリンシパルオーボエ奏者のドゥドゥ・カーメルだった。ディーン・スミスの声は、彼の声域を通じて均一で、特に高音域は素晴らしく、フル・オーケストラをバックに歌っているとは思えないくらい、(時にはそれが大音響で鳴り響いていたりもした)彼の旋律線はとてもなめらかで易々と歌っていたのが印象に残った。オーボエ奏者カーメルのいくつかのソロパートは、とても感情がこもっていて、しかも色彩に富んでいたので、演奏後のお辞儀の時には、ひと際大きな拍手が贈られたのにも納得の演奏だった。
若手のメゾ・ソプラノ、クリスティアン・シュトタインも美しい歌唱で魅せたが、ディーン・スミスに見られたような、声の均一さとなめらかさに欠けていたように思えた。もしかすると、彼女は曲の解釈に熱心になったあまりにごくシンプルに声を繋ぐ、という歌の基本を忘れてしまったのかもしれない。ピアノと歌手だけの歌曲のコンサートだと、解釈ももっと映えたのかもしれないが、フル・オーケストラをバックでは、その効果も半減となってしまったようだった。特に最後の歌「告別」は、30分あまりの長さに加え曲のほとんどが緩やかで静かなため、観客がだれてしまったような印象も受けたのが残念だった。

What an amazing evening! 
There was a palpable feeling of immense concentration from the orchestra. The strong bond between the conductor and orchestral members made the atmosphere so intense and exciting as a result. The orchestra was fantastic. Their playing was dynamic and compelling throughout the evening's performance. I am glad that I read the programme booklet before the performance as it was the first time I have heard Verklärte Nacht. It was fascinating to learn that in composing the piece, Schoenberg followed the structure of the original poem made up of 5 stanzas. (He divided the whole piece into ABACA.) The story is about a young couple strolling together on a moonlit night. The 'A' parts represent their walk and the 'B' part is the painful confession of the woman that she is pregnant with other man's child. The 'C' part is the man's response of love and forgiveness to that confession. It was one of the most beautiful and moving performances of music I have ever heard.   

The English translation of the original poem can be found here.

Mahler's Das Lied von der Erde after the interval was equally wonderful. I thought the stars of the performance were the tenor Robert Dean Smith and the principal oboist Dudu Carmel. Dean Smith's voice was even all way through his range, especially impressive top ranges, his phrasing was so smooth that he made the songs seem easy to sing, despite the fact that he was singing with full orchestra (sometimes playing with their own full sound...) behind him. The principal oboist's numerous solos within the piece were full of emotion and colour, and when he took a bow there was an appreciatively loud applause. 

The young mezzo-soprano Christianne Stotijn sang beautifully but her voice seemed to lack the consistency and evenness of tone that Dean Smith possessed. Perhaps it was because there were more 'interpretations' in her performance than the tenor's. With a full orchestra, however, the many undoubtedly musical effects were lost and lacked the impact she might have anticipated. The last song, Der Abschied, is a particularly difficult song, not only because it is about half an hour in length, but most of the phrases are slow and quiet, indeed there were some moments when she seemed to lose the audience's interest altogether.    

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Tuesday, August 19, 2008

アート巡り番外編〜バルセロナ〜②

Museu Picasso (Picasso Museum)

ピカソ美術館は、バルセロナの旧市街にあり、散策途中に立ち寄るのに最適でした。
美術館は、1963年に彼の長年の友人Jaime Sabartesからの沢山の寄付を得てオープンしました。そのため、彼の若いときの作品が多数を占めており、ピカソの有名な作品を期待して訪ねていくと、少し期待外れに終わってしまうかもしれません。それでも、彼のバイタリティ豊かな個性が発揮されていて、充分に楽しめました。なかでもチャコールやパステルで描いたものが特に印象に残りました。

'La Diseuse'

'End of the number'
歌手が歌い終わって拍手に応えているところでしょうか?彼女たちの衣装や髪型が、「その時代」をまるで切り取ったかのように鮮やかです。こんなドレスを着てみたい!


'Un Sabio' (賢人)

こういうスケッチを見ていると、ピカソに茶目っ気たっぷりにウィンクされたような気分になります。
この美術館の目玉とも言えるのが、ピカソが、ベラスケスの「ラス・メニーナス(女官たち)」をモデルを下敷きに、自由自在に描いた一連の作品群です。


上が、ベラスケスの描いた絵、下が、ピカソのもののうちの一枚。少し写真のサイズが小さいので見にくいですが、構図はほぼ同じながら、細部が細かく変わっていて、まぎれもなくピカソの作品になっているところが非常に面白かったです。

ピカソ美術館のホームページはこちらから。

Sunday, August 17, 2008

アート巡り番外編〜バルセロナ〜①

Fundació Joan Miró (Joan Miro Foundation)


バルセロナ出身で世界的に有名と言えば、まっさきにピカソが思い浮かぶかもしれませんが、ちょっととぼけた様なユニークな作風が特徴のホワン・ミロ(1893−1983)もまた、バルセロナにゆかりのあるアーティストです。そんなミロの、絵画にとどまらない広範囲にいたる作品群を見る事が出来るのが、バルセロナの小高い丘Parc Montjuïc にある、ホワン・ミロ・ファンデーションです。

入り口では、こんな銅像が出迎えてくれます。


ミロの作品は、彼の強い好奇心がそのまま反映されたように、題材も素材も多方向に及びます。彼の若いときの作品(まだ抽象画になるまえ)から、「絵というものの破壊」に向かった青年期を経て、シュルレアリズム(超現実主義)による、シンプルな円やカラーの中に彼なりのユニバースを凝縮したようなの抽象画の数々や、セラミック、彫刻などを一気に楽しむ事ができます。自然光を程よく取り入れた館内は、ひんやりと涼しく、また白壁に奔放なカラーのミロの作品がよく映えていました。

まず、入ったところにこんなタペストリーが。このファウンデーションが建立された時に特別に作ったそうです。




正面に見える絵は、「太陽の前の人物像」と言う題名がついていますが、私には、どう見てもかがんだ状態の人のように見えます。私は、抽象画が、写実画に比べて、より自由に絵を解釈する事が許されているように思い、そののびのびとした世界が特に好きです。

ビビッドな色彩と、奔放な筆遣いから、ミロの複雑で非常にアーティスティックな感性がかいま見れるように思います。中には、水墨画を思わす白地に黒でデザインを描いた物もありました。

ミロは、青年期以来、パリに長く在住し沢山のアーティストとも交流がありました。その後、フランコ政権のスペインを避けて、生涯のほとんどをマヨルカで過ごしたそうですが、バルセロナのある、カタルーニャ地方の伝統文化を愛し、自身もカタラン・アーティストであると自負していたそうです。彼の作風は、シュルレアリズムの部類に入りますが、同じシュルレアリズムとはいっても、同じカタルーニャ地方出身のサルバトール・ダリのように現実にはありえない構図で写実的な絵画を描くのではなく、より抽象画に近い方に発展していきました。

この「鳥」と題された大理石(?)彫刻は、その温かくてのびのびとした形がとても印象的でした


ホームページは、こちらから。


Monday, June 16, 2008

The radio 3 Lunchtime concert @ Wigmore Hall

6月16日
ラジオ3ランチタイム・コンサート

ジェラルド・フィンリー Gerald Finley    baritone
ジュリアス・ドレーク Julius Drake    piano

曲目:

シューマン
ハイネの詩による歌曲
悲劇・哀れなピーター・きみの頬を私の頬によせて・私の愛はきらめき・きみの顔はとても愛らしくて美しい・わたしのカートはのろのろと

Tragödie I - III • Der arme Peter • Lehn' deine Wang • Es leuchtet meine Liebe • Dein Angesicht • Mein Wagen rollet langsam 

「ミルテの木」より3つの歌
蓮の花・この孤独な涙は何を意味するのだろう・きみは花のようだ

Die Lotosblume • Was will die einsame Träne? • Du bist wie eine Blume 

グリーグ
Op. 48より5つの歌
挨拶・いつか、あぁ私の心よ・世界のありかた・薔薇のときに(甘美な薔薇よ、きみたちは待っている)・夢

Gruß • Dereinst, Gedanke mein •Lauf der Welt • Zur Rosenzeit • Ein Traum

シューマン
ハイネの詩による歌曲
敵対する兄弟たちよ・浜辺の夜・兵士たち・ベルシャザル

Die feindlich Brüder • Adends am Strand • Die beiden granadiere • Belsazar

アンコール
アィヴス
私は恨んではいない Ich grolle nicht
******************************************************
✩✩✩✩✩

ハイネの詩によるシューマンの数々の歌曲は、ドイツ歌曲の演奏会と言えば、定番でもありますが、ジェラルド・フィンリーの少し陰りを帯びた男性的で美しい声で歌われると、恋に敗れる男性の悲哀がひと際濃く出ていて、非常に聴きごたえがありました。

シューマンの「詩人の恋」は創られた当時20曲からなっていて、紆余曲折があって4年後に出版の際、4曲が外されて16曲となったのですが、「きみの頬をわたしの頬によせて、わたしの愛はきらめき、きみの顔はとても愛らしく美しい、わたしのカートはのろのろと」がその4曲にあたり、これらは後年それぞれOp. 142 No. 2, Op. 127 N.3, No. 2, Op. 142 No. 4として出版されました。これらの4曲は、独立した曲としては少しインパクトに欠ける気もしましたが、それぞれ流れるような旋律とピアノ伴奏の美しさが際立っていました。

「ミルテの木」からの3曲は、私的にこのコンサートの中で一番印象に残りました。かなわない恋をこんなにも優しく美しく語れるものなのなのでしょうか。ロバートからクララへの結婚祝いに贈られたこの歌曲集は、幸福感だけでなく恋や愛の不条理さもぎゅっと詰まっていて、彼の盲目的といえる愛が感じられます。

グリーグは、「薔薇のとき」と「夢」が特に有名で、その流れるような美しいピアノ伴奏と相まって、甘美な痛みのようなものを感じさせるとてもロマンチックな曲でした。「夢」は、もはや歌曲というよりはアリアを聴いているような迫力で耳がびりびりしました。

ジェラルド・フィンリーの歌は、旋律線が非常になめらかで、声を自由に扱っている様が、やはり第一線で活躍する歌手たる所以でしょう。オペラだけでなく歌曲のコンサートにも力を入れていて、それもドイツ歌曲からフランス歌曲、イギリス・アメリカ歌曲と、そのどれもがきちんと歌われていて、いつ聴いてもとても満足のいくのが凄いです。

ジュリアス・ドレイクは、大活躍中のピアノ伴奏者ですが、その演奏ぶりは、派手さには欠けるものの、いつ聴いてもテクニックの確かさと解釈の深さには大満足です。イギリスに来て、「ピアノ伴奏者」という位置が、予想していたよりかなり確立されていて驚いたのですが、いくつかのマスタークラスや講習会に参加してみて、彼らの学識の深さとピアニストとしてのテクニックの高さに、非常に感銘を受けました。

このコンサートは、BBC Radio 3のホームページ上で、7日間聴く事ができます。聴いてみたい方はこちらから。(注意!始まって4分くらいからコンサート開始です。)



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Thursday, June 5, 2008

Good to be competitive? 〜コンクール@ウィグモア・ホール〜

5月4日 ウィグモア・ホールにて At Wigmore Hall

2008年度 歌手のためのリヒャルト・タウバー・プライズ、公開ファイナル
Public Final Audition of the 2008 Richard Tauber Prize for Singers

主催:アングロ−オーストリアン音楽協会


隔年開催されている、リヒャルト・タウバー・プライズはイギリスとオーストリアの音楽院で学ぶ声楽科の学生にとって(少なくともロンドンの音楽院では)かなり重要なコンクールの一つです。それというのも最優秀賞は、£5000の賞金に加え、ウィグモア・ホールでのリサイタルが副賞として与えられるからです。予選は、ロンドンとウィーンで行われ、本選は公開ファイナルとしてウィグモア・ホールで行われます。

本選に残ったのは、10名の歌手。

ソプラノ、4名
メゾ・ソプラノ、1名
テナー、1名
バリトン3名
カウンターテナー、1名

7名がロンドンから、3名がウィーンからとなっていました。当たり前ですが、所属/出身校は、ロンドンとウィーンの名門校の名前、特にロイヤルカレッジ・オブ・ミュージック(ロンドン)とウィーン芸術大学ばかりが連なっていました。

リヒャルト・タウバーは第二次世界大戦前後にロンドンで活躍したユダヤ系オーストリア人のテナー歌手で、歌曲、オペラのみならず、オペレッタや作曲家としても活躍していた最中、1948年に56歳という若さで亡くなりました。ナチス・ドイツを逃れてロンドンに移り住んだオーストリア人音楽家とそれを支援するイギリス人によって設立された、アングロ−オーストリアン音楽協会はそんな彼の思い出を記念すべく、このコンクールを1951年に創立しました。

といういきさつ上、このコンクールでは、本選は、オペラアリアと歌曲をそれぞれ一曲ずつ披露する事になっていました。

最優秀賞を受賞したのは、南アフリカ人カウンターテナー、クリストファー・アインズリー Christopher Ainslie でした。彼が歌ったのは、イギリス人作曲家ジョナサン・ドーヴのオペラ「フライト」からのアリアとシューベルトのノクターン Nachtstück でした。

彼はたしかに他の歌手より頭一つ分抜け出ていました。だから、この結果は理解できます。

しかし、、、リヒャルト・タウバー・プライスは、審査員長も受賞発表の時に言っていましたが、シューベルト、シュトラウス、ヴォルフを生んだオーストリアだけに、ドイツ歌曲の普及に力を入れているはず。いくら優秀な歌手でもカウンターテナーが、歌える歌曲には限りがあります。声にはあうあわない領域というものがあって、今回のファイナリストの中でも、???という選曲をした人もいましたが、それにしても、、、審査は、本音と建前と、政治的判断といろいろ絡んだのであろうなというのがみえみえでした。

こんどは、彼の歌を彼のレパートリーで聴いてみたいです。シューベルトでなくってね。

二位を受賞したこれまた南アフリカ人ソプラノのサラ・ジェーン・ブランドン Sara-Jane Brandon は、その美しい持ち声でそつなく、シュトラウスのチェチーリエ Cäcilie とルサルカのアリア(ドヴォルザーク)を歌い上げて納得の受賞。また聴いてみたい歌手の一人となりましたが、もう少しスリムになったほうが歌いやすそう。歌っていて息が切れるのはどうも…。見た目もそこそこ大事だと思います。

受賞は逃しましたが、「フィガロの結婚」から躍動感に溢れる伯爵のアリアと、その対極にあるブラームスの子守唄 Wiegenlied を歌ったジェラード・コレットGerard Collett は、オペラと歌曲の両方で多彩な才能をみせて、これからが非常に楽しみな歌手です。(ちなみにダイドーとエネアスに出演していたローナン・コレットは、双子の兄弟です。)

同じく受賞を逃したオーストリア人ソプラノ、ニーナ・バーンシュタイナー Nina Bernsteiner は、選曲と伴奏者が良くなかったようで、よく伸びる美しい声の持ち主だけに残念でした。ドイツ語が母国語だとはいえ、やはりシューベルトの「魔王」は男声用の曲だと思いを新たにしました。冒険はほどほどに!

イギリスは比較的「伴奏者」Accompanistという分野が確立されていて、素晴らしい伴奏者が沢山活躍しているのですが、やはり今回のコンクールでも、イギリス側の伴奏者の質の高さが際立っていました。伴奏者賞を受賞したジェームズ・ベィユー James Baillieu は、(またまた南アフリカ出身!そういう土壌があるのかしら?)これまで何度か聴いた事がありますが、テクニックの確かさと、表現の幅の広さがすごく、いつ聴いても安定した演奏で、歌手もとても歌いやすそうでした。

個人的にコンクールは、受ける方の立場でも、聴く方の立場でも好きではないのですが、今から伸び盛りの若い歌手たちがウィグモア・ホールという素晴らしいホールで、一生懸命自分のベストを尽くす姿は、コンサートとして非常に見応えがありました。

しかしこの10人の歌手たちが一体どこまでプロとして活躍していけるのだろうか…と考えると複雑なものがあります。歴代の30人の優勝者の名前を見ても、見覚えがあるのは、数人のみ。このコンクールのファイナリストたちとくるとそれだけで300人を超えます。クラシックの本場ヨーロッパとはいえ、プロの道は大変厳しそうです。



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