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Wednesday, February 17, 2010

ヴァレンタインのサプライズ

友人
− 今年のヴァレンタイン、何か予定あるの?

オット
− いちおう考えてるんだけど、サプライズなんだ。

という会話を漏れ聞いた(家計に敏感な)ツマ

− ヴァレンタインのサプライズ・プレゼントには、何か大げさなものでなくて、例えば、10ポンドくらいで収まるものにしてね。。

と念押し。

それが、先週の話。

さて迎えたヴァレンタイン・デー

とっておきの秘密の隠し場所からオットがツマに差し出したものは、、、

Every Good Boy Deserves Favour @ National Theatreのチケット!!!

EGBDFという頭文字は、音楽を読んだことのあるニンゲンならおそらくピンと来るはず、そう、五線譜の一般的な音の順序(ト音記号を使う方)なのです。Every Good Boy Deserves Favourと意味を持たせる事で、音の位置を覚えよう!というのから生まれた言葉なのですが、それをタイトルに持ってきたお芝居、となるとおのずから音楽が重要な意味を持って存在します。

そんなわけで、イギリス演劇界きっての大御所Tom Stoppard(トム・ストパード)が作曲家アンドレ・プレヴィンの依頼に応えて書いたこの作品、なんと舞台上にオーケストラも出演するという珍しいスタイルなのです。
去年、ナショナル・シアターで上演されて、それが高い評判となり、先月からまた再演がかかる事になったのは知っていましたが、まさかチケットが、それもヴァレンタイン・デーに取れるとは予想してなかったので、本当にサプライズでした。しかも、チケット代は一人10ポンドとお得。(しかも指定の予算内!)音楽と演劇がみごとに融合された舞台を堪能しました。

内容:
旧ソ連時代、反体制主義者である事は精神病であるとして、精神病棟にむりやり収容されたアレクサンダー・イヴァノフが、同じ個室を同名のイヴァノフと共有するところから話ははじまります。イヴァノフは、本物の統合失調症を患っており、目の前にオーケストラがいつも現れてしまうのです。超気真面目でシリアスなアレクサンダーと、幻のオケを引き連れたイヴァノフのそりが合うはずもなく、話はずっとずれたまま、医者、KGB幹部、アレクサンダーの息子(けなげに父を信じつつも、周囲の影響で段々と父が精神病でないという信念をゆるがせられてしまう)を巻き込んで、信じられないエンディングを迎えます。

アレクサンダー役は、テレビのAnti-drinkキャンペーンのCMでおなじみのAdrian Schiller。
素晴らしい役者さんでした。


Tuesday, June 9, 2009

しばらくぶりの更新

しばらくブログの更新から遠ざかってしまっていたので、3月以来観てきたものをざっとまとめて。。。

3月4日 マウリツィオ・ポリーニ
ピアノ・リサイタル@ロイヤル・フェスティバル・ホール

Beethoven: 
Sonata in D minor Op. 31 No 2 Tempest
Sonata in F minor Op 57 Appassionata

Schumann:
Fantasie in C Op 17

Chopin:
Two Nocturnes Op 27
Scherzo No 2 in B flat minor Op 31

 
言わずもがな技巧派ピアニストの御大ポリーニのリサイタル。
会場から人があふれそうなくらいの超満員は、初めて見た様に思う。その熱狂ぶりに反して、ポリーニのピアノは、あくまでも冷静で、それでいて正確無比な超絶技巧が満開だった。
個人的には、その熱狂ぶりに乗り損ねたかな、、、というのが正直な感想。それでも、エンターテイメントとしては、秀逸したものだったと思う。



4月14日 アンドリュー・バード
Gig@シェパーズブッシュ・エンパイア

こちらは、がらりと変わって、シカゴの個性的なシンガーソングライターによるギグ。
マルチインストゥルメンタリストの彼が、シンプルな音の切れ端を、見事に増幅・反復させて、一つの音楽に創り上げていく様は、想像を超えるインパクトだった。久々に、我を忘れて何かに夢中になれる子供の頃を、追体験させてくれた素敵な夜だった。

5月11日 劇「Waiting for Godot ゴドーを待ちながら

パトリック・スチュワート(Vladimir - Didi)
イアン・マッケラン(Estragon - Gogo) 

ガンダルフとピカード船長による、何もおこらないので有名な劇、と来れば、行かずには済ませられず。チケットは何ヶ月も前に既に完売、劇場は満杯の大盛況でした。早めに予約したのが幸いして、ストールの真ん真ん中で、二人の掛け合いと、引き算の演技を堪能。イアン・マッケランは、文句なしに素晴らしかったのだけれども、それに比べると、パトリック・スチュワートのDidiが、意外に声の線が細い感じで、少し無理していたような。連日の本番で少し疲れていたのかな、と感じた。この話は、見終わった後で、それぞれが感じ取った事をわいわい語り合うのに、最適。静かだけれど、強いインパクトを残した。

5月29日 ロバート・レヴィン
フォルテピアノ・リサイタル@クイーン・エリザベス・ホール

Haydn:
Sonata in E flat
Sonata in C
Variations in F minor (Un Piccolo Divertimento)
Sonata in C minor
Fantasia (Capriccio)

フォルテピアノの演奏は、去年パリでアンドレア・シュタイヤーのコンサートに行ってすっかりその音の虜となったのだが、このアメリカ人ピアニスト、ロバート・レヴィンもとっても良かった。遊び心にあふれた演奏と、ピアノとはまた違った音が生み出す空間が楽しめた。ハイドンは、本当に奥深いとしみじみ感じた。それでも難しい感じではなくて、聞けば聞くほど親しみ深いというか、形式の中で、遊びの要素がぎゅっと詰まっていて、引き出す人の力量次第で、音楽ががらりと変わるのが、面白い。学生時代副科ピアノで、一時期ハイドンのソナタにはまって、そればっかり弾いていたのを思い出した。

Saturday, January 10, 2009

初演劇体験〜『十二夜』@ウィンダムス劇場〜

2009年1月9日


数日前の事ですが、生まれて初めて演劇を観に行きました。初めから最後までステージの上で繰り広げられる世界に、日々の喧噪を忘れてまるで子供に戻ったかのような一晩でした。

シェイクスピアによる『十二夜』は、英語で書かれた作品としては最高傑作の一つに数えられているようですが、恥ずかしながら、あらすじをどこか昔に読んだような朧げな記憶があったっきりで、どこまで分かるかどうか少し心配しましたが、俳優たちの熱演にそんな事をすっかり忘れて、ぐっと引込まれ終わった後も中々興奮が冷めなかったくらいです。

それぞれ素晴らしい俳優陣だったのですが、中でも女伯爵オリヴィアの執事:マルヴォーリオを演じたサーの称号を持つデリック・ジャコビが圧巻でした。捻くれていて、堅物で鼻持ちならない性格がゆえに、とことんコケにされるという、コメディーにはつきもののキャラクターを、さりげなくそれでいてパワーに溢れて演じていて、最初の一言から、最後の最後まで、劇場中が笑いに包まれていました。まさに達人芸でした。

他の俳優陣も、挙げていくときりがないくらいすごかったのですが、中でもオリヴィアを演じたインディーラ・ヴァルマは、こんなに美しい人がいるのか!と思わせる外見から、美しい身のこなし、メリハリの利いた台詞まわしと、三拍子以上揃って楽しませてくれました。


『十二夜』ホームパージは、こちらから。3月7日まで月曜を除いて毎日上演中です。