ヘンリー・パーセル:
来れ、芸術の子よ Come ye Sons of Art
ダイドーとエネアス Dido and Aeneas(コンサート形式)
ダイドー:サラ・コノリー Sarah Conolly
エネアス:ローナン・コレット Ronan Collett
魔法使い:ダニエル・テイラー Daniel Taylor
ベリンダ(侍女)/魔法使い1:エリン・マナハン・トーマス Elin Manahan Thomas
魔法使い2/第二の侍女:ジュリア・ドイル Julia Doyle
アンサンブル:ガブリエリ・コンソートGabrieli Consort & Players
指揮:Paul McCreesh
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評価:☆☆☆☆☆
「来れ、芸術の子よ」は、初めて聞きましたが、声楽アンサンブル曲でソロと二重唱が上手くアレンジされ楽しめました。が、今日の目当ては「ダイドーとエネアス」でダイドーを歌うサラ・コノリー!後半が待ちきれませんでした。
サラ・コノリーは、ギリシア風の白いドレス姿も優美で憂いがちなダイドーぴったりで、とにかく声が豊かで美しく、もっともっと聴いてみたい歌手の一人となりました。長い間ENO(イングリッシュ・ナショナル・オペラ)で活躍していて、40歳を過ぎた今年やっとコヴェント・ガーデンにデビューする遅咲きの歌手ですが、素晴らしい声の持ち主というだけでなく、人柄もおっとりとして素敵でした。
実力としては頭一つ以上抜けている彼女に対して、若手中心の歌手を回りに集めた今回の人選は、蓋を開けてみれば、大成功だったように思います。エネアスを歌ったローナン・コレットは、若さの溢れた力強さと柔らかみのある歌唱が印象的でした。また魔法使いを演じたカナダ人のカウンターテナー、ダニエル・テイラーは、音楽的に弱い魔法使いのパートを天性の(?)演技力でとても盛り上げて、観客を強力に惹きつけていました。カウンターテナーというより、もっと高い音域の声の持ち主で、ソプラノ歌手が霞んでしまうくらい強烈でした。
ベリンダともう一人の侍女を歌った二人のソプラノ歌手はどちらも、Early Music向きの声で、個人的にはあまり好きなタイプの声ではないのですが、アンサンブルとして良かったと思いました。ガブリエリ・コンソートの演奏も安定していて素晴らしかったです。
ウィグモアホールがここまで満杯になったのは正直初めて見ましたが、観客の反応もとてもよく、イギリスでパーセルなどEarly Musicが人気なのを再認識しました。
ダイドーとエネアスのあらすじについては、またそのうちに。
サラ・コノリーのコヴェント・ガーデンデビューは、ダイドー役らしいので、興味のある方、とてもお勧めです。彼女の名前を一気にポピュラーにした、グラインドボーンでの伝説のジュリオ・チェザーレはこちらからどうぞ!DVDも発売されています。彼女の歌をもっと楽しみたい方、Early Music/ヘンデルに興味のある方には、このCDもお勧めです。