Monday, November 2, 2009

ピアノリサイタル@RFH

2009年11月1日 ロイヤル・フェスティバル・ホールにて
International Piano Series
John Lill ジョン・リル

Programme
シューマン:子供の情景、カーニバル

ブラームス:二つのラプソディー、ヘンデルの主題による25の変奏曲とフーガより

*********

イギリス人大ベテランのピアニスト、ジョン・リルのリサイタルは、まさに「正統派」というのが相応しいプログラムで、特にシューマンの『子供の情景』は、何度も聴いてよく知っていていても、やはり素晴らしい作品〜〜〜!と久々にザ・クラシック気分に浸らせてもらいました。ほとんど身動きもせず、しゃちほこばった(ように見える)姿勢から生み出される音は、どこまでも軽やかでエレガントでまっすぐ。そして彼の持つ飄々としたどこか超然とした態度は、今はもう引退してしまったアルフレッド・ブレンデルを数年前聴きに行った時に感じたような、職人としてのアーティストを感じました。きっと何十年もこのレパートリーをいろんな所で弾いて来たんだろうなぁ〜と思って聴くと、若手の勢いにみちた演奏とはまた違った重みがひしひしと伝わってきたように思いました。

日曜の午後、しかも天気の冴えない日とあって、残念ながら会場は空席が目立ちました。いつも思うのですが、ピアノリサイタルは、やはりもう少し小さいホールで聴きたいです。せめてもクィーン・エリザベス・ホールまでの大きさでないと、ピアノの音とのintimateな共有が出来ず、なんだか遠いんですよね。個人的には、室内楽には、ウィグモア・ホールが一番と思ってます。

次のInternational Pian Seriesは、来週月曜日、クリスティーナ・オルティズ。本場ブラジル人の彼女が奏でるヴィラ・ロボスに期待です!

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Sunday, October 18, 2009

生のピアノにふれる夜

今年もまたサウスバンクで、International Piano Series が始まりました。若手から大御所までこれほど素敵にセレクトされたシリーズも珍しいでしょう。今年は、ショパン・イヤーだとかで、ショパンの作品を取り上げるピアニストも多いようです。

年末までのラインアップは、こちら↓

1 Nov  John Lill − シューマンとブラームス

9 Nov  Cristina Ortiz − ドビュッシーとヴィラ・ロボス

23 Nov  Louis Lortie − ショパン

4 Dec  Leif Ove Andsnes & Robin Rhode − シューマン、ムソルグスキーとラルヒャーの新作UK premiere

8 Dec  Imogen Cooper − シューベルト

こう見てみると、シリーズ前半は、あまりショパンづけ、という感じではないですね。(苦笑)シリーズ中盤〜後半にどか〜んとくるみたいです。

ショパンといえば、音大の入試試験の際、Chopinがどうのこうの〜と書かれてあるのを和訳するというエイゴの問題で、チョピンが、と訳してしまったらしい友達がいました。その時初めて、ショパンってフランス語読みだった〜〜〜!と知った私たち。。ショパンの出身国ポーランドでは、ナント読むのか気になる所です。「ショパンの練習曲集」なんて巷に出回っているのが、実は、「チョピンの練習曲」だった!なんてことになると、あのエレガントで上品なイメージがガタッと崩れるような気がしませんか?!

それはさておき、Cristina Ortizのコンサートは、lastminute.comにて、50%引きで買えます。(例: £20のチケットが、£10プラス£1の手数料=£11)

サウスバンクは、ロンドンのウォータールー駅近く、または、エンバンクメント駅から橋を渡ってすぐという便利な所にあります。サウスバンク内にあるカフェや、バーなどはコンサート前に一服するのに最適でお勧めです!


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Saturday, October 10, 2009

読書熱について、その後

ヒマラヤンのいる暮らしという素敵なブログをお書きになっているSineadさんという方のところで初めて出会った梨木香歩という作家の本を読んだ。(勝手にリンクを貼らせていただきました。お気を悪くなされないといいのですが。。)

「春になったら苺を摘みに」
作家自身の英国留学時代に身近にいた人々を再訪するというエッセイ。
出版は2002年だから、私が英国に住み始めるより少し前のお話。
毎日の通勤時間に読んだのだけれど、軽やかでありながら重いテーマにぐんぐん引きずり込まれ、窓の外をみる余裕もないまま、気がつけば、自分が今存在している英国と彼女の中の英国がオーバーラップするかのような、摩訶不思議な空間を経験した。

彼女の書いた「西の魔女が死んだ」というのを、先に読んでいて、どうして英国がこんなにも自然に彼女の中にあるのだろう、、、と不思議に思っていたのが、このエッセイを読んで一気に氷解した。

彼女が過ごした頃の英国は、もう存在しなくて、今のイギリスは、私も含めて山ほど日本人が住んでいて、日本人だけでなく山ほどの移民、留学生が世界中から集まる、まさに人種のるつぼである。そして民族間の調和が至るところで、少しずつ綻びつつあるそんな不安定なイギリスに、私は居る。そんな事をいやおうなしに考えさせられて、通勤時間には少し重すぎて、2章くらい読むのが精一杯だった。エッセイの最後には、アメリカだけでなく世界に衝撃をあたえた、911に関する話がある。911後のイギリスは、やはり後戻りできない変化を経験せざるを得なかった。そんな事を思いながら見る窓の外は、いつもと変わらない南ロンドンの風景。でも彼女のエッセイをとおして見る景色は、深まりつつある秋の色と相まって、いつもより鈍く沈んで見えた。

小説より奇なり、とはよく言ったもので、エッセイなどで浮き彫りにされる現実の人々の生活は、それを見つめる作者の眼をとおされた事も相まって、そこらの小説より何倍も興味深い深いことがよくある。今回も彼女の感性のゆたかさ、言葉やフレーズの選び方がとても素晴らしいと思った。もっと読んでみたい作家が見つかった。

Sineadさん、ありがとうございます。

Tuesday, August 18, 2009

読書熱

ふと、人は何故本を読むのだろうか、、、と考えた。小さい頃からいわゆる「本の虫」だった。本を読むのは、呼吸するのと同じ感覚だった。小学生の頃は、買い与えられた小学館《少年少女世界名作文学全集》などを毎日飽きずに何度も何度も読み返していた。私の読み方は、いつも同じ。
ざっと読み
読み返し
じっくり読み
予測読み

の繰り返しである。最初の「ざっと読み」は、親にあきれられるくらいとにかくものすごいスピードで、話の筋をつかみながら読んで行く。だから登場人物の名前とか、場所設定とかは、次の「読み返し」「じっくり読み」でのお楽しみ用に取っておく。「予測読み」になる頃には、すでに4〜5回読んでいるわけで、ページをめくった先に何が待ち受けているのか分かっているからこそ面白い、推測ゲームのようになる。

こうやって、記憶の戸棚に山積みにされた沢山の「お話」たちは、普段はきれいさっぱりと無意識の領域で眠っていて、時々ランダムに目を覚まし、ふとした会話の肴となってでてきたりする。

年を重ねるにつれ、「ざっと読み」のスピードは段々と遅くなり、そのかわり「予測読み」まで行き着く事は、まれになった。それでも、本がそばにない時の禁断症状にも似た《乾き》は、まだ消えないどころか、毎日どんどんひどくなるばかりである。

苦労してまで自国語でない本も読んでしまうこの衝動は、何なのだろうか。知的財産の収集といえば聞こえがいいけれど、これではまるで、ただ身体/精神に深刻なダメージを与えないだけで、私が最も嫌悪するタバコやお酒や薬の中毒と同じようなものである。ただ、本中毒といってもだれも眉をひそめたりしないばかりか、場合によっては賞賛されたりしてしてしまうのが面白い。

この2ヶ月ほど、夢中にさせてくれる本にであっていないので、古い本も読み返し飽きたし、禁断症状もかなり深刻になってきた。さて、新しい本を開拓するか。ホラー/怪奇/超自然現象話以外でお進め本を教えたい方、英国在住で手放してしまいたい古本の持ち主の方いらしゃいましたら、是非ご一報くださいな。


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Thursday, July 30, 2009

7月ももう終わり

4月に今年は、「バーベキュー・サマー」なんて予想された今年の夏は、やっぱり涼しいままで過ぎて行くらしい。みんな顔を合わせれば、「あ〜ぁ、暑いくらいの太陽カンカン照りにならないかなぁ〜」なんてため息まじりに話しているけれど、私は結構この気候が好きだ。

週末に田舎道を散歩中、目の前に広がる牧草地でひっそり草を食む小動物を見つけた。遠目に狐かと思うくらい小柄なそれは、野生の牝鹿!静寂に包まれた緑の中で、その優雅な首をもたげてこちらをまっすぐに見詰めたとき、この国に来て本当に良かったと思った。

気がつけばもう7月も終わり。ロンドンの音楽界は夏の祭典、BBCプロムスで毎晩忙しい。バラエティたっぷりのプロムスだけれど、身近に思えて意外に足を運ばないものである。日が長いうちにゆっくりこの涼しい気候を楽しみたいから、かも。


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Tuesday, June 23, 2009

久しぶりの更新 (続き。。。)

6月6日 鼓童@ロイヤル・フェスティバル・ホール

久々の日本にどっぷり!
フェスティバルホールの二階席がせり出している後ろの方で聴いたのだが、そのせり出している部分に取り付けられた、照明とか、冷房機とかが、がたがた揺れるのは、初めて経験した。あまりにガタガタするので、途中で落ちてくるんじゃないかとひやひやしたけれど、楽しかった!
ただただ太鼓を叩いているだけの事が、ここまでエンターティメントになるとは、正直予想していなかったので、新鮮な驚きにあふれた素敵な時間だった。


6月8日 ルル@コヴェント・ガーデン

ずっと見たかったルルを、賛否両論のコヴェント・ガーデンプロダクションで、やっと観る事になった。やはりチケットの売れ行きが悪いらしく、ボックスオフィスに電話で予約したら、かなり安く、そこそこの席がとれた。ルル役は、外見的にはルルのイメージにぴったりだったけれど、やはりルルはそんなに甘い役ではないのだなぁ〜というのが正直な感想。途中でだんだんと息切れしてきて、声に艶がなくなってしまい、マイクで拡張されているのがばればれだった。(特に、私の席は、Amphitheatre だったので、まぎれもなく後ろから声が聴こえて来た)ダイアローグの部分は、最初からマイクを通していたのは、演出上と納得していたけれど、普通に歌っているときに、いきなり声が大きくなるのは、、、。ちょっと期待はずれのルルに対して、Dr Shön/Jack the Ripper (切り裂きジャック)を歌ったMichael Volleは、役にぴったりで素晴らしかった上に、イギリス声楽界の大御所Philip Langridgeが、ちょい役で出演して、キラリを光る演技と歌を見せていた。


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Tuesday, June 9, 2009

しばらくぶりの更新

しばらくブログの更新から遠ざかってしまっていたので、3月以来観てきたものをざっとまとめて。。。

3月4日 マウリツィオ・ポリーニ
ピアノ・リサイタル@ロイヤル・フェスティバル・ホール

Beethoven: 
Sonata in D minor Op. 31 No 2 Tempest
Sonata in F minor Op 57 Appassionata

Schumann:
Fantasie in C Op 17

Chopin:
Two Nocturnes Op 27
Scherzo No 2 in B flat minor Op 31

 
言わずもがな技巧派ピアニストの御大ポリーニのリサイタル。
会場から人があふれそうなくらいの超満員は、初めて見た様に思う。その熱狂ぶりに反して、ポリーニのピアノは、あくまでも冷静で、それでいて正確無比な超絶技巧が満開だった。
個人的には、その熱狂ぶりに乗り損ねたかな、、、というのが正直な感想。それでも、エンターテイメントとしては、秀逸したものだったと思う。



4月14日 アンドリュー・バード
Gig@シェパーズブッシュ・エンパイア

こちらは、がらりと変わって、シカゴの個性的なシンガーソングライターによるギグ。
マルチインストゥルメンタリストの彼が、シンプルな音の切れ端を、見事に増幅・反復させて、一つの音楽に創り上げていく様は、想像を超えるインパクトだった。久々に、我を忘れて何かに夢中になれる子供の頃を、追体験させてくれた素敵な夜だった。

5月11日 劇「Waiting for Godot ゴドーを待ちながら」

パトリック・スチュワート(Vladimir - Didi)
イアン・マッケラン(Estragon - Gogo) 

ガンダルフとピカード船長による、何もおこらないので有名な劇、と来れば、行かずには済ませられず。チケットは何ヶ月も前に既に完売、劇場は満杯の大盛況でした。早めに予約したのが幸いして、ストールの真ん真ん中で、二人の掛け合いと、引き算の演技を堪能。イアン・マッケランは、文句なしに素晴らしかったのだけれども、それに比べると、パトリック・スチュワートのDidiが、意外に声の線が細い感じで、少し無理していたような。連日の本番で少し疲れていたのかな、と感じた。この話は、見終わった後で、それぞれが感じ取った事をわいわい語り合うのに、最適。静かだけれど、強いインパクトを残した。

5月29日 ロバート・レヴィン
フォルテピアノ・リサイタル@クイーン・エリザベス・ホール

Haydn:
Sonata in E flat
Sonata in C
Variations in F minor (Un Piccolo Divertimento)
Sonata in C minor
Fantasia (Capriccio)

フォルテピアノの演奏は、去年パリでアンドレア・シュタイヤーのコンサートに行ってすっかりその音の虜となったのだが、このアメリカ人ピアニスト、ロバート・レヴィンもとっても良かった。遊び心にあふれた演奏と、ピアノとはまた違った音が生み出す空間が楽しめた。ハイドンは、本当に奥深いとしみじみ感じた。それでも難しい感じではなくて、聞けば聞くほど親しみ深いというか、形式の中で、遊びの要素がぎゅっと詰まっていて、引き出す人の力量次第で、音楽ががらりと変わるのが、面白い。学生時代副科ピアノで、一時期ハイドンのソナタにはまって、そればっかり弾いていたのを思い出した。