ストラヴィンスキー: The Rake's Progress
歌詞は、英国出身の詩人W H オーデンが作詞したので、英語。
日本語訳だと「放蕩者のなりゆき」
なんだか難しい話なのか、と少し気構えて行ったら、まるでサーカスに迷い込んだみたいでびっくり。歌手も歌手らしくなく芝居上手で、なによりも演出家のロベール・レパージュRobert Lepageの創りだす世界に、時と場所を忘れて夢中になっていた。
話は、ヨーロッパではおなじみのファウストやメフィストーフェレによく似たもの。一口にいえば、人間のツラをかぶった悪魔に魂を売ったらどうなるか、という教訓話。ルパージュの演出では、最後に悪魔が正体を現すところで、ヒネリがきいていて、おぉっという感じ。
ストラヴィンスキーは、19世紀末にサンクトペテルブルク近郊生まれ、パリで活躍したロシア人万能作曲家。ナチス台頭を避けてアメリカに亡命し、ニューヨークで1971年になくなった。バレエ音楽『春の祭典』が特に有名。
Rake's Progressは、ストラヴィンスキーが、モーツァルトとかヘンデルのスタイルによって作曲したもの。この人本気で作曲したの?と疑いたくなるような遊び心がいっぱいの音楽。内容と音楽が噛み合ずに、(しかも英語の構成をあまり分からないまま作曲したのか、イントネーションがとても変で、歌いにくそうだった)???と思っていたら、最後のエピローグで疑問氷解。つまりは、すごくシリアスな内容のオペラではなく、あくまで、これは架空のお話ですよ〜と登場人物全員が出てきて歌って終わり。
歌手陣の中では、主役トム・レイクウェルを歌ったトビー・スペンスがぴか一だった。声が決していいわけでないけれど、よくコントロールされてて安定していたのに加え、演技が非常に上手くて、歌手というよりは俳優みたいだった。
自分用メモ:
CREDITS
Composer
Igor Stravinsky
Director
Robert Lepage
Choreography
Michael Keegan Dolan
PERFORMERS
Conductor
Ingo Metzmacher
Trulove
Jeremy White
Anne Trulove
Rosemary Joshua
Tom Rakewell
Toby Spence
Nick Shadow
Kyle Ketelsen
William Shimell
Mother Goose
Frances McCafferty
Baba the Turk
Patricia Bardon
Sellem
Graham Clark